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LESSON 01 / 06

MCPとは何か:標準仕様の俯瞰

所要時間 13分 上級レベル

MCP(Model Context Protocol)は AIモデルと外部ツールを繋ぐオープン標準Anthropic が主導し、業界全体で採用が広がっています。本レッスンではその全体像を俯瞰します。

なぜ標準が必要なのか

MCP登場前、AI に外部ツールを接続する方法はベンダー独自仕様でした:

  • OpenAI: Function Calling
  • Anthropic: Tool Use
  • Google: Function Calling(独自)

結果、同じ「Slack 連携」を 3つのAI で動かすには 3 回実装する 必要があり、開発コストが膨らんでいました。

MCP の解決

MCP は次の役割を分離します:

  • MCP サーバー:ツール提供側(Slack 連携、DB アクセス、ファイル操作 等)
  • MCP クライアント:AI モデル側(Claude Desktop、Claude API クライアント、その他 LLM ホスト)

1度作った MCP サーバーは、対応する すべての AI で再利用可能

MCP の通信モデル

┌──────────────┐         ┌──────────────┐
│ AI Host      │         │ MCP Server   │
│ (Claude等)   │  JSON   │ (自社実装)    │
│              │  RPC    │              │
│ ・推論      │ <───>   │ ・ツール提供 │
│ ・ツール選択│         │ ・データ取得 │
│              │         │ ・処理実行   │
└──────────────┘         └──────────────┘

接続: stdio / HTTP / WebSocket
プロトコル: JSON-RPC 2.0

MCP の主要要素

要素 役割
Tools AI が呼び出せる機能(function相当)
Resources AIが参照できるデータ(ファイル、URL等)
Prompts テンプレート化されたプロンプト
Sampling サーバー側からAIへの問合せ
Notifications イベント通知

Tool Use との違い

Tool Use MCP
定義場所 API呼び出し時に毎回 サーバー側で一元管理
再利用性 同じAI内のみ 複数AIで使い回し
複雑度 低(単発タスク向け) 中〜高(プラットフォーム向け)
状態管理 各リクエスト独立 セッション単位で状態保持可
動的発見 事前定義必須 ランタイムで動的に取得可

MCP を採用するメリット

  • 1度の実装で多AI対応:Claude / 他社モデル / OSS LLM で共通
  • エコシステム参加:他社が公開する MCP サーバーを利用可能(Slack/Notion/GitHub等の公式MCP)
  • 分業しやすい:ツール開発と AI 統合を独立に進められる
  • セキュリティ強化:ツール側で認証・認可を一元管理

MCP を採用しないケース

  • 単発スクリプト・PoC 段階:オーバーヘッドが大きい
  • 1つのAI のみ使う前提:Tool Use で十分
  • 外部公開しないプライベートツール:MCP 化のメリット薄

主要な公式 MCP サーバー

Anthropic 公式・コミュニティで提供されるMCPサーバーが充実してきています。

カテゴリ
ストレージ filesystem, GoogleDrive, Dropbox
コミュニケーション Slack, Email, Discord
開発 GitHub, GitLab, Jira
DB・データ Postgres, SQLite, BigQuery
知識ベース Notion, Confluence
Web fetch, browse, brave-search

本コースで実装するもの

  1. 最小の MCP サーバー(Hello World 的なもの)
  2. Postgres 接続のMCP サーバー
  3. Slack/Notion 等の SaaS連携
  4. 認証・権限管理を組み込んだ本番想定の MCP サーバー
  5. Claude Desktop / API クライアントとの統合
  6. デバッグとパフォーマンス計測

このレッスンのまとめ

MCP は AI と外部ツールをつなぐ オープン標準。1 度作れば多AI で再利用でき、エコシステム参加のメリットも大きい。次のレッスンでは、最小の MCP サーバーを実装します。

よくある質問

この記事に関連する質問と答えをまとめました。

Q.MCP は本当に業界標準ですか?
A.
2024年末に Anthropic が発表後、急速に採用が拡大しています。OpenAI・Google も対応を検討しており、Slack・Notion・GitHub など主要サービスから公式MCP サーバーが提供されています。
Q.Tool Use を MCP に置き換えるべき?
A.
単発スクリプトなら Tool Use のままでOK。複数AIで使い回す・他社のMCPエコシステムを活用する・社内標準として整備する場合は MCP への移行が有利です。