← Claude Code & Cowork 業務実装マスター【企業のAI内製・自動化】
LESSON 03 / 11

Slack連携で実現する業務自動化【ハンズオン】

所要時間 18分 上級レベル

「Slackに情報は全部あるのに、欲しい1件が見つからない」「同じ質問に毎日答えている」「会議に出られず議論を追えなかった」。チームのコミュニケーションがSlackに集約されているほど、こうした“情報の渋滞”は深刻になります。レッスン3では、その渋滞を解消するSlackコネクタを使い、Claudeを業務に組み込むところまでを実際に手を動かして進めます。

結論を先に:SlackコネクタでClaudeは「双方向」になる

2026年1月26日にローンチされたSlackコネクタ(Pro/Maxで利用可)の本質は、Claudeとの連携が双方向である点です。具体的には次の2方向が同時に成立します。

  • Slackの中でClaudeを使う:DM・AIパネル・チャンネルでの@メンションから、Slackを離れずにClaudeへ依頼できる
  • Slackをデータソースとして使う:ClaudeアプリやCoworkから、Slackのチャンネル・メッセージ・ファイルを検索し、文脈として取り込める

この「自分がいる場所で使えて、かつ蓄積された会話を引き出せる」という両輪がそろうことで、問い合わせ対応・要約・通知といった定型業務をClaudeに任せられるようになります。本レッスンでは、つなぎ方の手順 → 自動化の実例 → 統制上の注意、の順で具体的に見ていきます。

Slack連携の2つの形を整理する

最初に混乱しやすいのが「どちらの方向の話をしているのか」です。下表で役割を切り分けておくと、設定でも運用でも迷いません。

連携の方向 できること 主な使いどころ
Slack内でClaudeを使う(Claude in Slack) DM・AIパネル・@メンションでClaudeに依頼。スレッドの要約や下書き作成をその場で返す 会話の流れを止めずに要約・回答・文面作成
SlackをコネクタにしてClaudeに繋ぐ チャンネル・メッセージ・ファイルをキーワードや送信者で検索し、文脈として取り込む 横断検索・過去ログからの調査・レポート生成

さらに開発寄りの選択肢として、MCP(Model Context Protocol)経由でSlackを繋ぐ方法もあります。MCPは外部ツールへの実アクセス(読み書き)を担う標準規格で、同じMCPサーバをClaude DesktopとClaude Codeで共通利用できます。仕組みの全体像はMCP完全ガイドを参照してください。

ハンズオン1:SlackコネクタをClaudeに接続する

まずは最も使う頻度が高い「SlackをClaudeのコネクタとして繋ぐ」手順です。所要は5分ほど。Pro以上のプランで進めてください。

  1. ClaudeアプリまたはWeb版にログインし、設定(Settings)からコネクタ一覧を開く
  2. 一覧から「Slack」を選び、接続(Connect)をクリックする
  3. 連携先のSlackワークスペースを選択し、表示される権限内容(チャンネル・メッセージ・ファイルの読み取りなど)を確認のうえ承認する
  4. 承認後、Claudeとの会話で「#general の今週の議論を要約して」のように指示し、Slackの内容を参照できることを確認する

ポイント:コネクタはあなたのSlack上の権限に従って動きます。あなたが見られないプライベートチャンネルはClaudeも見られません。「全社の情報が筒抜けになる」わけではない点を、導入説明時に伝えておくと不安を抑えられます。

ハンズオン2:Slackの中でClaudeを呼び出す

次は逆方向、Slackにいる人がその場でClaudeを使う設定です。

  1. Slack App Marketplaceで「Claude」アプリを検索し、「Add to Slack」をクリックする
  2. 権限を確認して承認し、組織全体に展開するか特定ワークスペースに限定するかを選ぶ
  3. 導入後、ClaudeにDMを送る/対象チャンネルで @Claude とメンションして依頼する/AIパネルから呼び出す、のいずれかで利用する
  4. たとえばスレッドで @Claude このスレッドの論点を3行でまとめて と送り、要約が返ることを確認する

これでチームの誰もが、Slackを離れずにClaudeへ依頼できる状態になります。情シス側は、どのチャンネルで使ってよいかの運用ルールを先に決めておくとスムーズです。

自動化の実例:問い合わせ対応・要約・通知

接続できたら、いよいよ業務への組み込みです。代表的な3パターンを、そのまま使える依頼文の形で示します。

1. 問い合わせ対応の半自動化

社内ヘルプデスクや「#質問」チャンネルでよく来る質問に、Claudeが下書き回答を作ります。過去の回答ログやドキュメントを参照させるのがコツです。

  • 依頼例:「#help-it に来た今日の質問を一覧化し、過去の#it-faqの回答を参照して各質問のドラフト回答を作って。確証が持てないものは『要・担当者確認』と明記して」

回答を自動で投稿させず、担当者が確認して送る運用にすると、誤回答のリスクを抑えつつ工数だけ削減できます。

2. チャンネル要約・横断検索

出張や休暇明け、あるいは複数チャンネルにまたがる議論の把握に効きます。

  • 依頼例:「#project-x の直近1週間を、決定事項・未解決の論点・次のアクションの3区分で要約して」
  • 横断検索例:「『料金改定』に触れている投稿を全チャンネルから探し、いつ・誰が・何を決めたかの時系列ブリーフィングにして」

3. 通知・定期レポートの自動配信

「毎朝の状況サマリをSlackに流す」といった定時処理は、外部のスケジューラと組み合わせると無人化できます。たとえばGoogle Apps Script(GAS)を毎日定時に走らせ、その中でClaudeに要約を依頼し、結果をSlackへ投稿する構成です。非エンジニアでも、まずは手動で要約させて手応えを掴み、定型化できたものから自動化に回すのが現実的です。

自動化パターン 削減できる作業 事故を防ぐ運用
問い合わせドラフト 定型回答の作成・検索 送信前に担当者が確認
チャンネル要約 過去ログの読み返し 要約に元投稿リンクを併記
定期通知 毎朝の手動集計・投稿 出典と対象期間を明記

Cowork/Claude Codeとの使い分け

「資料やレポートの成果物まで一気に作りたい」場合は、非エンジニア向けのCoworkがSlackコネクタを活用できます。マーケや営業の担当者が、Slackの議論を読み込ませて報告資料まで仕上げる、といった使い方です。一方、コードベースに踏み込んだ自動化(バグ報告から修正・PR作成まで)はClaude CodeとMCPの領域です。

統制上の重要注意:Coworkの活動は監査ログ・コンプライアンスAPI・データエクスポートに記録されません。Slack連携で機微情報に触れる業務をCoworkで回す場合は、Claude Codeとは扱いを分けて設計する必要があります。情シス/法務はこの違いを前提にポリシーを引いてください。

よくある質問

無料プランでもSlackコネクタは使えますか?

Slackコネクタの利用はPro/Maxプランが対象です(2026年6月時点)。まず個人のPlanで効果を検証し、チーム展開時にプランと運用ルールを設計するのが堅実です。

Claudeが社内の機密情報を勝手に外に出すことはありませんか?

コネクタはあなたのSlack権限の範囲でのみ動作し、見られないチャンネルは参照されません。加えてMCP 2.4仕様(2026)では、高リスクなツール呼び出しへのMFA、MCP Admin Console経由のリアルタイム監査ログ、同意ワークフロー、集中管理デプロイが整備されています。企業導入では、これらの統制機能を有効化したうえで運用してください。

回答の精度が不安です。誤った要約や回答を防ぐには?

自動投稿ではなく「下書きを人が確認して送る」運用を基本にし、要約には必ず元投稿へのリンクを併記させましょう。確証が持てない箇所は「要確認」と明示させる指示を、依頼文の定型に組み込むのが有効です。

どこから始めるのが失敗しにくいですか?

影響範囲の小さい1チャンネルで「要約」から始めるのがおすすめです。価値が確認できたら問い合わせドラフト、最後に定期通知の自動化へ広げると、リスクを抑えながら定着させられます。

まとめ

SlackコネクタはClaudeを双方向に繋ぎ、「Slackの中で使う」と「Slackを引き出す」の両方を可能にします。問い合わせ対応・要約・通知という日常業務から着手し、人の確認を挟む運用と統制機能の有効化をセットにすれば、安全に効果を出せます。CoworkとClaude Codeの記録特性の違いだけは、設計段階で必ず押さえておきましょう。

次のステップ

本レッスンは新設コースClaude業務自動化2026の一部です。続けてSlack連携の詳細解説Gmail/Workspace連携も読むと、コネクタ全体の地図が描けます。実際に試すなら、すぐ使える依頼文を集めたプロンプト集みんなのプロンプトが役立ちます。自社のどこから自動化すべきか整理したい方は活用度診断を、体系的に学ぶなら学習パスをどうぞ。社内展開を本格的に進める段階では、株式会社LUCRISのClaude導入支援にご相談いただくこともできます。メール購読では「すぐ使えるプロンプト50選PDF」を配布中です。